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足の裏が冷たくなって、冷や汗が出ます。これはショックで危険な状態を示します。しかし出血とか心臓のショックなどがない場合には熱が出て、体温がぐっと上がってきます。ターミナル時の熱の上がり方には化学療法などは全然効きません。そして脈も速くなります。
脈は、心筋梗塞や狭心症のときに痛みがあると迷走神経が興奮して速くなることがあります。熱があるときにも脈が速くなる。しかし、内出血があると熱がなくても脈が速くなる。子宮外妊娠などは内出血の典型的な例で、脈が速くなります。このときには強心剤を打っても効果はありませんが、輸血をすれば脈は戻ります。
肝臓がんの破裂などで急変がおこるときには、ショックのバイタルサインのことをよく知っておくとよいでしょう。ショックというのは血圧の高さだけではないのです。
私はへいぜいは血圧が120?Hgですが、夏などには100?Hg以下になることがあるほど低血圧です。ですから、私が突然倒れたとしても血圧が80?Hgであれば全然心配ありません。アメリカのブッシュ大統領が宮中で倒れたときには血圧は90?Hgでしたが病院には運びませんでした。主治医はしばらく寝かせたままにしておいて、血圧が自然にもとに戻るのを待ったのです。大統領はその後自分で歩いて宿舎に戻りました。冷や汗が出ていなかったのでしょう。冷や汗が出ると心筋梗塞あるいは大動脈瘤破裂です。
私の患者さんの奥さんから、朝7時ごろ、「主人が食事のあと意識がなくなったので血圧を測ったらいつもは150/90なのに80/30です。脇の下に冷や汗が出ています」と電話が入りました。私はそれを聞いて、ショックだ、血管が破れたのだ、もう聖路加

 

 

 

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